【薬剤師が本気解説】梗塞の原因となる動脈性血栓とプラークとEPAの関係

動脈血栓とEPAの関係
動脈血栓とEPAの関係

こんにちは、薬剤師のODAです。

心筋梗塞や脳梗塞ってなりたくないですよね・・・

でも、もしかすると生活習慣が原因でなってしまうかもしれません。

そうならないために注意すべき血液検査値は、LDL値です!

LDL値が動脈性血栓と大きなかかわりがあるのです。

なぜLDLが心筋梗塞や脳梗塞に繋がるのかを、今回はお話していこうと思います!

目次

血栓には動脈型と静脈型がある

みなさんは、血栓と聞くとどんな病気を想像しますか?

そう、血栓は心筋梗塞、脳梗塞の詰まる原因そのものです。

実は、血栓は大きく分けて二つのタイプがあります。

動脈血栓は、イメージはかさぶたです。それに対して、静脈血栓は血の塊そのもの。

動脈血栓は、動きがあるからできてしまう血栓に対して、

静脈血栓は、動きがない故にできてしまう血栓ということは、

頭の片隅に置いておいてもらえたら良いなと思います。

このことを知らない薬剤師とか結構いますので。新人研修とかするとビックリします!(笑)

大学って何を教えているんだろう?と。かくいう私も大学で習った記憶はないのですが!(笑)

動脈型血栓

・血小板が集まることによってできる血栓

・細い血管やプラークで狭くなった血管を詰まらせる

・プラーク内のコレステロールなどを巻き込んで粥状となっており、
 アテローム血栓とも呼ばれる

静脈型血栓

・動きが少ない血液中で血が固まることでできる血栓

・心房細動(心臓がブルブル震えている状態)が起こるとできやすいと言われている

・エコノミークラス症候群は、足にできた静脈型血栓が詰まる症状

・太い血管も詰まらせるので、できてしまうとかなり致命的な血栓

今回は、この動脈血栓についてお話しようと思います。

では、急に出てきたプラークとはいったい何なのでしょう?

動脈血栓の要因であるプラークとは?

プラークとは太い血管の内腔を狭めるしこりのようなものです。

きれいな太い血管の図

太い血管は左図のような二(多?)重構造をしている

⇐プラーク

太い血管は二重構造になっている

この太い血管の二重構造の間に

コレステロールやTGなどの

脂質が入り込んで内腔を狭くする

入り込む形はsmall dense LDLという

LDLの小さい部類のものだと言われている

TG:トリグリセリド(脂肪酸3つの塊)

プラークができるのは血液検査地のLDLのせいなのかと聞かれると、

厳密にはsmall dense LDLが出てきてもっと複雑なのですが、

この記事では便宜上、そうしておいてください。

病院でLDLが高いねと言われたら、プラークができやすいというのは間違っていませんので。

このプラークが諸悪の根源で、実は動脈硬化にもつながってきます。

ただ、動脈硬化の話をするとさらに単語が増えるので、これは別記事をかかせていただきます。

ただ、プラークができるとピンチなのかというと、

実はプラークも大きく分けて二種類あることが分かっています。

それが、安定プラーク不安定プラークです。

安定プラークと不安定プラークは色が違う!

勉強会で循環器専門のドクター達は、そろって不安定プラークは黄色いとおっしゃいます。

現代では、血管内イメージングという技術で、血管の中のプラークを見ることができます。

そうした時に、安定プラークは白色で、不安定プラークは黄色いと肉眼で確認できるのです。

勉強会では実際の動画を見せていただきましたが、

確かに安定プラークは白色で、不安定プラークは黄色でした。

先生方がおっしゃるには、「不安定プラークは動脈硬化を起こして、血栓を作るのだよ」と。

不安定プラークの図

不安定プラークは破綻をして

その周りに血小板が集まって

粥状血腫(血栓を作る)

そして、先生方はこうもおっしゃいます。

不安定プラークはEPA製剤を投与すると安定化するんだよ」と。

このEPAはみなさんご存じの魚油に含まれるEPAですよ!

当時は、なぜなのだろうという疑問も湧かずに、ただ、そうなんだと受け入れていました。

なので、EPAは普通に血液をサラサラにする成分なんだくらいに思っていました。

でも数年後に色々な文献を見ているうちに、ついに見つけました!

不安定プラークがなぜ黄色いのかという理由を!

そして、なぜEPAが不安定プラークを安定させるのかという理由を。

炎症とプラーク

ここで、この記事↓を読んでいただきたいと思います。

EPAと炎症の関係が少し頭に残りましたか?

そうです、EPAには炎症消退作用があります。

では、炎症と不安定プラークには関連があるのか?実は思い切りあります!

なんと、不安定プラークが黄色い理由は、血液でした。

白 + 赤 = 黄色だったんですね。

不安定プラークは、プラーク内で炎症を起こして内出血をしていたのです!

EPAで白色になるのは、炎症が消退して、内出血が起こらなくなるからでした。

つまり不安定プラークを抱えていると、プラークが破綻して、

破綻した部分を修復するために血小板が集まり、

血栓ができ、心筋梗塞や脳梗塞を起こすということです。

では、なぜEPAにそんな作用があることに気づいたか?なのですが、

これは、世界で民族間の食事を調査した結果から分かったことなんですよね。

心血管イベント(※)を起こしやすい民族とそうでない民族では、

EPAの摂取量に差があったと。(その民族はアザラシ等から摂取していて模様)

※心血管イベントとは動脈硬化とか心筋梗塞、脳梗塞をひっくるめたイベントのことです。

ちなみに最近の研究では、血栓予防効果のある低用量アスピリン

酸化酵素のCOXをアセチル化することで生じたアセチル化COX

さらに炎症消退効果のあるレゾルビンをEPAから作りだすことも分かってきました。

レゾルビンには強い血小板凝集抑制作用があることも分かっており、

動脈血栓には、EPA + 低用量アスピリンが、かなり良い組み合わせとして用いられています。

食事での動脈血栓予防にはEPA

というわけで、動脈性の心筋梗塞や脳梗塞、動脈硬化を起こしやすい

不安定プラークを安定プラークへと変えるのは、EPAということでした。

魚を食べることは健康にとって、かなり重要な要素ですね。

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加熱がないから、EPAが酸化されず、効率が良いですね!

魚からEPAを摂るのが王道なので、どんな形でも定期的に魚を食べる習慣を、

身に着けることをお勧めします!

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EPA600mg!(1日6粒)1カプセルで100mgのEPAです。

もっとも医療用のEPA製剤だと1800mg(一日量)くらいになるので、

比べると少なく見えますが、サプリメントとしては十分な量ではないかなと思います。

心筋梗塞や脳梗塞の確率を少しでも下げたいという方は、

本当にEPAの摂取を意識されるようにしてください!

プラークを解消するにはLDLを下げるのが一番!

でもやっぱり一番は、安定であろうが不安定であろうが、プラークを作らせないのが一番です。

プラークの原因は、small dense LDLですが、ほとんどの人は栄養過多が原因です。

LDLは肝臓で合成した脂肪の運び屋です。

ODAは場合によって、TGを積んだトラックと表現したり、

TGの詰まった風船と表現をしたりしますが、

ようは、肝臓で過剰な脂肪が作られるようなエネルギー過多が一番の問題なのです。

これを帳消しにするには、カロリー制限か運動でのエネルギー消費しかありません。

巷で、コレステロールを下げるとか、食品のコレステロール摂取を減らすとか、

訳が分からない情報が出回っていますが、問題はエネルギー過多の一点のみです。

もしコレステロールを下げる食品があるとすれば、

それは、身体へのエネルギー吸収を邪魔する食品しかありません。

そのことだけは覚えておいてください!

食事の摂取カロリーを簡単に減らす方法

例えば世の中にはこんな商品があります。

利用法はとてもシンプルで普通にお米として炊くだけです。

マンナンご飯、とてもシンプルな代替だと思いませんか?

簡単にカロリー制限ができてしまう代物です。

レトルトで簡単に手に入る大塚食品のマンナンご飯を食べたことがある方は、

ご存じと思いますが、美味しいマンナンご飯は普通においしいです。

努力や工夫は大事ですが、それを続けることはとても難しいので、

こんな便利な商品を使うというのも、大切な選択肢だとODAは思います。

一番欲しいのは運動習慣

LDL値を下げるのは脂肪を消費するような運動です。

脂肪を消費するような運動とは、心臓の脈拍を上げるような運動です。

脂肪をエネルギー源として一番消費するのが心臓だからです。

習慣としては、スロージョギングが一番オススメです。

スロージョギングとは、ゆっくりなんだけれども歩くより筋肉も心臓も動く運動です。

ファスティングもエネルギー摂取がトータルで減るので、

効果はあると思いますが、専門家の方と一緒にされることをお勧めします!

あと意思が弱くて・・・

という方はやっぱりこちらですね!


ライザップ 首都圏以外の店舗一覧

過剰なエネルギーを減らす = 痩せる です。

筋肉は後期高齢者になるころにはとても大切な資産なので、

今から貯筋も兼ねて、こちらに投資するのも考えてみてはどうでしょうか?

心筋梗塞は、発症後に心臓機能が低下するので、フレイルに陥りやすいです。

脳梗塞も機能障害が残ってしまうと、同じくフレイルがとても近くなってしまいます。

余力があるうちに、リスクをきちんと仕分けして、そのリスクはどうやったら取り除けるのか、

きちんと将来を見据えて対策を備えておくのがとても重要だと思います。

個人的には国が将来の医療費・介護費削減のために

もっとこちらに予算を付けてはと思ったりします。

例えば、ライザップ、一生に一度保険適用とか。まあ、余談でした。

特別なケース 家族性高コレステロール血症の方

LDL値が高いのは、エネルギー過多だからとお伝えしましたが、

実はそうではない方もいらっしゃいます。

それは、家族性高コレステロール血症という遺伝によるものを抱えてらっしゃる方々です。

この方々は、LDLを取り込む受容体という門が、遺伝的にそもそも少ないのです。

よって取り込まれ損ねたLDLが血液中を漂うので、結果、LDL値が高くなります。

家族性高コレステロール血症の方々の特徴

・たくさん食べても太らない家系

・若いうちからLDL値が高い家系

・親族に、心筋梗塞・脳梗塞が多い家系

心当たりのある方は、すぐに受診をされて、

医師とどのように治療していくかを、お話されるようにしてください。

遺伝子の問題なので、治ることはありませんが、

薬でコントロールしてリスクを低減することは可能です。

逆に、運動や食事でコントロールしようとしても、

かなり厳しいと考えられますので、あまり無理はされないようにしてください。

ちなみに日本での患者さんの数は50万人超と推定されています。

200人に一人、つまり0.5%くらいの確率でいらっしゃるということですので、

怪しいなと感じたら、早めに受診をされてくださいね。

まとめ

  • 血栓には動脈型と静脈型がある
  • 動脈血栓はプラークによって発症するが、プラークはLDL値と大きな関係がある
  • 白い安定プラークと黄色い不安定プラークの2種類がある
  • 黄色い不安定プラークは内出血しており、EPAで安定化させることができる
  • LDLはエネルギー摂取が過剰だと高くなるので、運動習慣が大事
  • 例外は、家族性高コレステロール血症の家系の方 早めに受診・治療を!

というお話でした。

動脈血栓とEPAの関係、初めて知った方も多いのではないでしょうか?

食事と生活習慣は病気と密接にかかわっているのです。

しかし、遺伝でどうしても仕方がない状況もあります。

そのための医療と医療の発展なのです。

この度は、長文をお読みいただきありがとうございました!

もしよろしければ、今後とも応援のほど、是非ともよろしくお願いいたします!

是非、シェアをお願いします!

2件のコメント

頚動脈のブラークにリピトール10mg多少なりとも効きますか。
お勧めの薬ありましたら、教えてください

まさ様

コメントありがとうございます!

結論;効きます!

リピトールはスタチン系と呼ばれる薬ですが、
唯一、プラーク内のコレステロールを減らせる薬と言われてます。

リピトールは脂溶性で、スタチン系の中でも最強です。

ただし、イエロープラークには効果がないと言われています。

そのため、EPAと、おそらくですが低容量アスピリンが必須です。

理由はイエロープラークでは炎症が起きており、
炎症の起きていないホワイトプラークにする必要があるからです。

ホワイトプラークからはスタチンで、
プラーク内のコレステロールを引き抜けるという論文は多数あります。

ただ、イエロープラークの判別は特殊な設備が必要なようなので、

アラキドン酸/EPA比という血液検査項目で診断される先生がいらっしゃいます。

なので、とにかくしっかり服薬を続けていただければと思います!

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メカニズム解明が大好きな薬剤師。もと有機化学の研究者。10年ほど現場の薬剤師と管理職を経験。病気等のメカニズムを分かりやすく伝えようと奮闘中!趣味は食べ物や化粧品の成分を考察すること。運動はするけれど、ある物が原因で脂肪肝・・・