【薬剤師が本気で解説】アセトアミノフェンと消炎鎮痛剤の違いと魚油の役割

解熱鎮痛剤と消炎鎮痛剤の違い
解熱鎮痛剤と消炎鎮痛剤の違い

こんにちは、薬剤師のODAです。

感染症にかかった時に、解熱鎮痛剤のアセトアミノフェン(カロナール)をもらったり、

ロキソプロフェンのような消炎鎮痛剤をもらったりすることがあると思いますが、

解熱鎮痛剤と消炎鎮痛剤には実は違いがあります!

そして、魚油をしっかり摂れているかいないかで、

炎症の退き易さが変わってくる可能性があるのです。

今回は、そんなお薬と魚油と痛みについてお話していこうと思います!

目次

アセトアミノフェン(カロナール)の解熱鎮痛効果

熱が出た時に、アセトアミノフェンのお薬を病院で

処方していただくことがよくあると思います。

錠剤でいただくこともあるでしょうし、

子供の頃は座薬をつかったことがある方も多いのではないかとおもいます。

では、何故アセトアミノフェンが発熱時にはよく処方されるのでしょうか?

アセトアミノフェンの効果と注意点

・熱を下げてくれる作用がある(解熱効果

・炎症を抑える力はない(消炎鎮痛剤ではない

・高用量では痛みを感じにくくさせる効果がある

・副作用は比較的少ないが、継続服用時は肝障害には注意が必要

アセトアミノフェンはまず、副作用が少ないことが特徴です。

アセトアミノフェン以外のいわゆる痛み止めは、

胃の粘膜を薄くし、腎臓の血流を悪くする副作用があります。

しかし、アセトアミノフェンには胃障害や腎機能障害を起こす副作用がありません。

また、熱をしっかり下げつつ、身体の炎症を邪魔しないというのも特徴です。

炎症は免疫が標的と戦っている状態でもあるので、

風邪のようにウイルスと戦ったり、細菌と戦っている場合には、

免疫による炎症を無理に抑えない方が良かったりするのです。

アセトアミノフェンが風邪で良く解熱剤として出される理由

・副作用が少なく、安心して使いやすい薬であるため

・身体の免疫の要である炎症を無理に抑えず、解熱効果だけ期待できるため

アセトアミノフェンの効果と選ばれる理由はなんとなく伝わったかなと思いますが、

では、そもそも炎症と痛みにはどんな関係があるのでしょうか?

痛みと炎症の関係

痛みと炎症には深い関係がありますが、炎症が関わっていない痛みもあります。

それは、神経が直接圧迫されたり、物理的に障害されている場合です。

ヘルニアの痛みとかが、この神経が直接圧迫されたりする痛みに分類されますね。

神経を直接圧迫するタイプの痛み

炎症の痛み止めは効きにくい

痛み止めの主な種類

①炎症の痛み止め(炎症反応を抑えることで痛みを緩和)

➁神経の痛みどめ(神経からくる痛みを感じにくくさせて痛みを緩和)

➂両方の痛みを感じにくくさせる痛み止め(痛み全般を感じにくくする痛み止め)

ちなみに、アセトアミノフェンは➂の部類の痛み止めですが、

結構な量を飲まないと効果がでなかったりするので、

整形外科等以外ではあまりお目にかかることはないかもしれませんね。

では炎症が起こると何故痛みを感じるかというと、

炎症反応の中で、痛みを増強させる物質が作られるからです。

炎症を抑える痛み止めは、この炎症自体を抑えることで、

痛みを増強させる物質の発生を、抑えてくれるのです。

そして、カロナールのように痛みを感じにくくさせてくれる作用もあったりします。

そのため、抗炎症鎮痛剤は炎症を抑えて痛みを感じにくくさせてくれるので、

抗炎症鎮痛剤と呼ばれ効果が発揮されるのです。

ステロイドと非ステロイド抗炎症剤

抗炎症鎮痛剤ですが、実は非ステロイド抗炎症剤とも呼ばれます。

ということは、ステロイドは抗炎症剤ということです。

ではステロイドはどのように炎症を抑えるかというと、

主に細胞の壁からのアラキドン酸の遊離、つまり発生を抑えます。

生体防御の要であり、炎症の素でもある

実はEPAと構造が似ている

アラキドン酸の役割とは

・細胞の壁の主な構成成分で、体中どこにでも存在している

アラキドン酸カスケードによって、多様な生理活性物質の原料となる
 ※アラキドン酸カスケードとは滝の意味。滝の流れのような反応を起こす

・色々な刺激で細胞の壁から遊離し、炎症反応の素となる

アラキドン酸は、刺激によって細胞の壁から遊離されると、

複数の酸化酵素で、それぞれ多様な生理活性物質に酸化されて変換されます。

多様な生理活性物質の中身は、炎症に関するものが多いため、

アラキドン酸をそもそも遊離させないことは、炎症を起こさせないこと、

つまり、ステロイドには抗炎症作用があるとなるのです。

それに対して、非ステロイド抗炎症剤は、アラキドン酸の遊離そのものを抑えることはなく、

アラキドン酸からの痛みに関わる生理活性物質の発生を主に抑えます。

難しいですが、炎症にはアラキドン酸と複数の酸化酵素が関わっていて、

ステロイドは、非ステロイド抗炎症剤の上位互換であると覚えておいてください。

炎症と魚油の関係

上述のように遊離されたアラキドン酸は、

複数の酸化酵素で、アラキドン酸カスケードと呼ばれる

滝の流れのように一気に様々な生理活性物質に酸化変換されるとお伝えしましたが、

それを抑えることができるものは、抗炎症剤以外にないのでしょうか?

実は、魚油に含まれるEPAとDHAが、アラキドン酸と構造が似ており、

アラキドン酸カスケードを邪魔できるのです。

アラキドン酸に構造が似ている

アラキドン酸カスケードを邪魔できる

条件によって炎症消退物質の原料となる

EPAとともにアラキドン酸に構造が似ている

同じくアラキドン酸カスケードを邪魔できる

炎症消退物質の原料となる

EPAとDHAの性質

・両方とも魚油に多く含まれている脂肪酸でアラキドン酸に構造が似ている

・アラキドン酸に構造が似ているため、
 アラキドン酸カスケードの滝の流れを弱める性質を持つ

・DHAは酸化酵素によって、プロテクチンという炎症消退物質へと変換される

・EPAはアスピリンによって変質された、アセチル化COXという酸化酵素によって、
 レゾルビンという強い炎症消退物質へと変換される

なんと、DHAはアラキドン酸カスケードを緩やかにするだけではなく、

炎症を退かせる物質(プロテクチン)にも変わるんですね。

EPAはちょっと特殊で、アスピリンという非ステロイド抗炎症剤によって、

変質した酸化酵素、アセチル化COXによって(COXは酸化酵素のうちの一つ)

強く炎症を退かせる物質(レゾルビン)へと変換されます。

では、アスピリン以外の非ステロイド抗炎症剤ではだめなのか?となるんですが、

そのことを記載した論文はODAの力では見つけることができませんでした。

しかし、アスピリンは不可逆的にCOXをアセチル化し、

その他の非ステロイド抗炎症剤は、可逆的にCOXをアセチル化するという文献はあるので、

多分、他の非ステロイド抗炎症剤でも、

EPAからレゾルビンが生成されることになるのだと思います。

ちなみに可逆とは、元に戻すことができるという意味で、

不可逆とは元に戻すことができないという意味です。

ちなみにこのことは、動脈血栓とも深いつながりがあるので、

いずれまた記事を書かせていただきます。

痛みが出やすい人は魚油の摂取を振り返る

難しい言葉を羅列してしまいましたが、

要するにEPAとDHAは、炎症を起こすのとは、逆の効果を持つということです。

というわけで、炎症が長引きやすい人や、痛みが出やすい人は、

ご自身の魚油の摂取量を振り返っていただいて、

魚油の摂取が少ないなと思われたら、積極的に摂取していただくことをお勧めします。

ただし、EPAとDHAはとても空気酸化されやすいので、

できるだけ新鮮な状態で摂取することを心がけてください!

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定期的に摂取をしているのとしていないのでは、本当に大きなさが出ます。

なので、この記事を読んでなるほどなと思った方は、

お寿司でもなんでも良いので、新鮮な魚油を摂取する習慣を身に着けてください。

魚が嫌い、食べるのが苦手!という方は

魚が嫌いだったり、魚を食べること自体が苦手という方は、

シンプルにサプリメントでよいと思います。

ちなみにODAは魚は大好きですが、夏はサプリメントを摂っています。

なぜなら、夏は魚に脂肪分がすくなく、また鮮度も味も難しくなるからです。

そんなODAは、

ユニマットリケン DHA&EPAオメガ3 1000 120粒 黒

これを飲んでいます。

これは、α-リノレン酸も含まれており、ODAは皮膚の痒みが出やすいので、

これが安くてぴったりなのです。

痛みや、炎症が出やすい体質でなければ、

無理に摂る必要はないかもしれませんが、痛みや炎症が起きやすいと感じている方は、

どんな形でも良いので、本当にEPAとDHAの摂取を意識されてみてください。

ω-3系脂肪酸のそれぞれの関係

最後に、EPAとDHAとα-リノレン酸についてそれぞれどんな関係なのかお話してみます。

これらの3種類は、ひとまとめにω-3系脂肪酸と呼ばれます。

ω-3系と呼ばれるのは、末端つまりギリシャ文字のωから、

3つ目に最初の二重結合が来ているからです

これらに対して、

リノール酸とアラキドン酸は、ω-6系脂肪酸と呼ばれます。

呼び方は末端のωから6つ目に最初の二重結合が来ているからですね。

ちなみにアラキドン酸はリノール酸から速やかに効率よく合成されるようです。

それに対して、EPAとDHAは効率はあまり良くないとされていますが、

α-リノレン酸を原料として合成されます。

またEPAとDHAは、互いに作り換えることができるようで、

どちらかを多く摂取しても、互いに補いあうことができるとのことです。

それゆえ、DHAをしっかり摂れていれば、EPAが不足していると騒ぐ必要はないですし、

夏場は、α-リノレン酸の摂取をすることで、EPA・DHA不足を補填できるということです。

まとめ

  • アセトアミノフェンは解熱鎮痛効果は持つが、消炎作用は持たない
  • 痛みと炎症は、その関連する生理活性物質で密接な関係がある
  • ステロイドは消炎鎮痛剤(非ステロイド抗炎症剤)上位互換である
  • 魚油に含まれるEPAとDHAは炎症消退作用がある
  • 痛み出やすい人、炎症が起きやすい人は、魚油が不足している可能性がある
  • ω-3系脂肪酸は、それぞれ関係があり、特にDHAとEPAは互いに補い合える

というお話でした。

痛みと食事の関係が見えてくると、食事で改善できるものもあるかもしれません。

結局我々の身体を構築しているのは、食事で食べたものですので!

この度は、長文をお読みいただきありがとうございました!

もしよろしければ、今後とも応援のほど、是非ともよろしくお願いいたします!

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ODA 未来を創る薬剤師未来を創る薬剤師
メカニズム解明が大好きな薬剤師。もと有機化学の研究者。10年ほど現場の薬剤師と管理職を経験。病気等のメカニズムを分かりやすく伝えようと奮闘中!趣味は食べ物や化粧品の成分を考察すること。運動はするけれど、ある物が原因で脂肪肝・・・