何故昔は日本で脳卒中が多かったのか?

脳卒中

目次

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  1. 1.脳卒中と高血圧
  2. 2.高血圧の原因は?
  3. 3.塩分過多の元凶は?
  4. 4.脳卒中が減った理由
  5. 5.他の脳卒中の要因
  6. 6.日本人に脳卒中が多かった理由

1.脳卒中と高血圧

1965年まで、脳卒中で亡くなる方は増加の一途でした。

これが1965年を境に急激に減っていきます。

では、脳卒中を引き起こす要因はなんだったのでしょうか?

一番の原因は、高血圧と言われています。

では、昔の日本人はなぜ血圧が高かったのでしょうか?

2.高血圧の原因は?

一番の原因は、塩分過多です。

極端な例かもしれませんが、
1950年代の東北地方住民のデータを見てみると、
20gを超える食塩を摂っていたようです。

ちなみに現代では11gくらいが平均のようです。

では、何故昔は食塩摂取量が多かったのか?

3.塩分過多の元凶は?

それは、塩系保存食が多かったからだと考えられます。
いわゆる漬物や干物ですね。

塩は、細菌の自由水(増殖のために必要な水分)を奪うため、
細菌の繁殖を著しく抑えます。
つまり、食べ物が腐らなくなります。
砂糖も同様ですね。

今のように電気冷蔵庫が普及する以前は、
夏の生鮮食品は日持ちがしないので、
塩で処理した保存食が多かったと考えられます。

また冬の時期は野菜も取れず、漁も厳しくなり、
雪が積もる地域では、人の往来すら困難であることが
容易に想像できます。

そんな時もまた、家庭の食事に塩系保存食が、
多く並んだのではないでしょうか。

その結果、日本人の食塩摂取量は多かった。

それが、日本人の高血圧を引き起こしていたと考えられます。

4.脳卒中が減った理由

1965年を境に急激に脳卒中が減ったのは、
電気冷蔵庫の普及と地方のインフラ充実による影響と考えられます。
1964年は東京オリンピックがありましたしね。
東京のインフラ整備が終わって、
地方への公共投資が盛んになっていったのでしょう。

つまり、塩系保存食でない、
生鮮食品を食べられる時期が増え、
その結果、日本人の塩分摂取量は減り、血圧が下がり、
結果、脳卒中が少なくなったと考えられます。

5.他の脳卒中の要因

さて、別の角度から今度は考察してみましょう。
1980年の海外の論文で、グリーンランドのイヌイットの人々は、
傷口からの出血時間が長く、花、尿路、分娩等でも
出血傾向にあると書いてあるそうです。

これは、イヌイットの人たちが、
海洋の生物をメインに食事をしていたことに由来するようです。
つまり食卓に並ぶ海洋生物が多くのω‐3系脂肪酸を含む脂質を
持っていることに起因するようです。

※ ω‐3系脂肪酸:EPA、DHA、(α‐リノレン酸:海洋生物にはあまりない)

日本でも1960年代にブロイラーの養殖が盛んになったり、
鶏肉の貿易自由化が進むまでは、
魚肉や鯨肉が多く食されていたのは、
想像に難くありません。

今の我々よりも、たくさんのω‐3系脂肪酸を必然的に摂っていた日本人は、
出血傾向が高かったと考えられます。

6.日本人に脳卒中が多かった理由

つまり、昔の日本人で脳卒中で亡くなる方が多かったのは、
食事の観点からは、保存食による高塩分食による高血圧と、
海洋生物を食すことが多かったことによる、
出血傾向が重なっていたためと考えられます。

あとはニコチンによる血圧上昇ですね。

これらが、家庭用冷蔵庫・インフラの発達と、
食肉内容の変化で改善されていったと捉えることもできます。

その結果、日本は高寿命の国へと変貌していったと考えられます。

これだけ見ると、ω‐3系脂肪酸は悪者に見えますが、
決してそうではありません。

現代で増えている病気は、昔はなりにくかったが、
それはω-3系脂肪酸のおかげで
抑えられていた可能性があるものも少なくないからです。

ω-3系脂肪酸についてはまた記事を書こうと思います。

分からないところや、気になることがあれば、
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メカニズム解明が大好きな薬剤師。もと有機化学の研究者。10年ほど現場の薬剤師と管理職を経験。病気等のメカニズムを分かりやすく伝えようと奮闘中!趣味は食べ物や化粧品の成分を考察すること。運動はするけれど、ある物が原因で脂肪肝・・・