【薬剤師が分かりやすく解説】アルツハイマー型認知症と糖尿病と運動の関係

アルツハイマー型認知所と生活習慣
アルツハイマー型認知所と生活習慣

こんにちは、薬剤師のODAです。

みなさんは、アルツハイマー型認知症という言葉を聞いたことがあるとは思いますが、

どの程度ご存じでしょうか?

認知症は、老化によって避けられないものや、

生じてしまう原因がいまだ不明な、レビー小体型認知症というのもあります。

そんな中、認知症の中で最も多いとされるアルツハイマー型認知症は、

生活習慣の影響が発症にかかわっているということが、研究で少しずつ明らかにされています。

今回は、そんなアルツハイマー型認知症と生活習慣についてお話していきたいと思います!

目次

アルツハイマー型認知症とは

認知症自体は正直なところ、避けるのが難しい病気です。

なぜなら、認知症の最大の危険因子は老化だからです。

そのため、寿命が延びる = 認知症になる可能性が高まるというのは避けがたいのです。

しかし、天寿を全うするよりも数段早くやってくる認知症があります。

その一つがアルツハイマー型認知症です。

アルツハイマー型認知症

・脳の一部にβアミロイドというタンパク質が沈着して引き起こされる病気
・βアミロイドの沈着は、症状発症の約25年も前から始まっているといわれている
・言い換えると、ほぼ20年は無症状で気づかない恐ろしい病気
・特徴の一つに、客観視ができず周囲と軋轢が生じやすいというのがある
・嚥下機能が低下していき、発症から約15年で誤嚥性肺炎で亡くなることが多い
・老化による認知症と比して、発症が早い(早い人は60代でも発症)
・64歳以下で発症する若年性アルツハイマーもある

アルツハイマー型認知症の怖さ

この病気の怖いところは、症状発症の25年前から始まっていて、

ほぼ20年は無症状のために気づかないというところです。

βアミロイドの沈着によって、脳細胞が変性することは分かっていますが、

20年後にβアミロイドを除去したところで、脳細胞の変性は治らないのです。

次に怖い所は、比較的元気な年齢で発症しやすいという所です。

昨今の、70代というのは、まだまだ元気な方がとても多いです。

そんな70代でも発症していまうという所が本当にこの病気の厳しい所です。

周りの人とうまくいかなくなりやすいのがアルツハイマー型認知症

さらに怖い所は、客観視ができなくなって、周囲と軋轢が生じやすい所です。

客観視ができなくなるというのは、平たく言うと、

住む世界が違うというか、見えている世界が我々とは違ってしまうということです。

しかし、本人には見えている自分の見えている世界が変わってしまった

という自覚はありませんが、でも他者の感情は感じ取れるのです。

つまり、人としては変わりないので、冷たい態度や怒りの感情をぶつけられると、

傷つきますし、心にダメージを負います。

70代で若くて元気にもかかわらず、客観視ができなくなって、

周囲と軋轢が生じやすくなるということは、

本人にとっても、周囲の家族や関わる人たちにとっても悲しいことかなと思います。

そして、15年という時間をかけて、どんどんと記憶を失い、

できることも少なくなっていって、亡くなってしまう病気なのです。

アルツハイマー型認知症の改善はできるのか?

結論からお伝えすると、アルツハイマー型認知症の根本的治療はできません

βアミロイドの沈着抑制や除去はどうにかできそうですが、

変性してしまった脳の神経を元に戻すことはできないでしょう。

なぜ元にもどせないかというと、これは認知症全般そうですが、

仮に医療が進歩して神経細胞を元に戻すことができても、

記憶されていたデータの復元は不可能であるからです。

アルツハイマー型認知症の薬は何をしてくれるのか?

では、既存のアルツハイマー型認知症の薬は何をしてくれるのか?というお話ですが、

アルツハイマー型認知症の薬は、神経伝達物質の効率を良くしてくれます。

記憶を司る神経の伝達をしてくれているアセチルコリンという物質があります。

アセチルコリンとアセチルコリンエステラーゼの役割

・神経伝達物質で、全身にアセチルコリン作動性神経が存在している
・アセチルコリンは、ミリ秒単位でコリンエステラーゼによって分解される
・コリンエステラーゼ不可逆的阻害薬の代表的なものにサリンがある
コリンエステラーゼが機能しないと死に至る

これが暴走すると、極端な話、人間は死んでしまうのですが、そうならないように、

コリンエステラーゼという酵素が、アセチルコリンを分解してくれています。

このコリンエステラーゼをうまく邪魔して、

アセチルコリンの効率をよくしてくれるのが、ドネペジルなどのお薬です。

ただ、脳神経を復活させたり、脳神経がダメになるのを抑える効果はありません

なので、脳神経の数が減り続けると、どこかでほぼ効果がなくなってしまいます。

インスリンを分解する酵素がβアミロイドを分解する

以前から、糖尿病とアルツハイマー型認知症の関連性は指摘されており、

最近では、インスリンを分解する酵素

βアミロイドの分解を担っている酵素の一つであることが判明しています。

インスリン抵抗性と糖尿病

・脂肪細胞の許容量に余裕がなくなると、インスリンが十分に存在していても、
 脂肪細胞等にグルコースが取り込まれなくなる
・その結果、血糖値が上がってしまうと糖尿病となる
・インスリンが役目を果たせず、血中に漂っている状態をインスリン抵抗性という

詳しくは↓の関連記事をCheck!

つまり、血液中のインスリンが余っている状態が続くと、

インスリンを分解する酵素は、インスリンの分解にかかりっきりとなります。

そうすると、βアミロイドの分解が滞るようになり、

脳神経にβアミロイドの沈着が進む要因の一つになるというわけです。

そのため、インスリン抵抗性の改善アルツハイマー型認知症を遠ざける

手段の一つとなり得るわけです。

脳の血流とアルツハイマー型認知症

また、脳の血流が悪いと、βアミロイドの排泄が悪くなり、

沈着しやすくなるともいわれています。

脳の血流を悪くするものの一つが、動脈硬化です。

動脈硬化とは

・太い動脈にできたプラークの変性によって生じる血管病変
・プラークは小さいLDL(small dense LDL)が溜まることで形成される
プラーク内で炎症が起こることで、動脈硬化へと変化していく
・血管内の炎症は含まれる脂質にリノール酸が多いと起きやすい
・炎症はEPAやDHAを多く摂取すると起きにくくなる

詳しくは、↓の関連記事をCheck!

動脈硬化のプラークの発生は、高LDL血症から始まります。

高LDLの要因の一つに、インスリン抵抗性があります。

つまり、脂肪の許容量に余裕がなくなると、血液中に、インスリンとグルコースと、

LDLが溢れるということです。

リノール酸の摂りすぎで、脂肪の許容量に余裕がなくなった場合は特に注意が必要となります。

リノール酸自体の脳神経細胞への影響

最近の研究では、ノネナールという物質が脳の中の大切なタンパク質をダメにして、

アルツハイマー型認知症を引き起こすという報告があります。

このノネナールは何かといいますと、リノール酸が酸化された物質であるということです。

⇐リノール酸の構造式
分子内に2重結合をふたつ持つ
そのため酸化されやすい
いわゆるサラダ油に多く含まれる

基本的に酸化反応というのは、温度が高いと起きやすいです。

そのため、揚げ物や、サラダ油の加工品のマーガリンやショートニングを使ったパン等には、

多く含まれている可能性があります。

ただ、脳には血液脳関門というバリアがあり、食事で摂ったこのノネナールが、

直接脳に届くかは不明です。血管はだめでも、リンパ液から届く可能性もあるので、

摂取については、注意が必要な物質だと考えられます。

また、摂取したノネナールではなくても、脳内でリノール酸が酸化されて、

ノネナールになることは十分に考えられますので、

いくら免疫や体の構成必要である必須脂肪酸(人間の体内で合成できない脂肪酸)とはいえ、

リノール酸の摂取量には十分な注意を払うことが、

アルツハイマー型認知症を遠ざけることになると思います。

アルツハイマー型認知症を遠ざけるにはまず運動!

これらを踏まえますと、アルツハイマー型認知症を遠ざけるのに

一番取り組んでいただきたいのは、運動です。

運動によって期待できるアルツハイマー型認知症の抑制効果

・運動をして脂肪の許容量を増やすことによるインスリン抵抗性の改善
・運動をして脂肪の許容量を増やすことによる高LDL血症の抑制
・運動によるストレス発散で、酸化ストレス低減
・筋肉を刺激することによって神経栄養因子(BDNF)が発生

詳しくは↓の記事をCheck!

脂肪を消費して、筋肉を刺激するということが、

アルツハイマー型認知症を遠ざける上で、最も大切だとODAは考えます。

運動習慣を身に着けたり、取り戻す!

運動習慣というものは、皆さんが持っているものではないと思います。

しかし、得られるメリットは図りしれないのです。

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もし近くに店舗があるのであれば、将来を見据えて、

ぜひ健康への投資を考えてみてください。

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まずは、リノール酸摂取の洗い出しと見直しです。

リノール酸は、サラダ油とサラダ油の加工品に含まれていますので、

ご自身のリノール酸の摂取を冷静に計算することはとても大切です。

次は、リノール酸を抑える魚油の摂取です。

魚油の摂取には、まず魚を食べる習慣です。

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まとめ

  • アルツハイマー型認知症はβアミロイドが関与する発症まで長い時間のかかる認知症
  • 20年以上かけて発症するので、若年性であってもアルツハイマー型認知症は改善が難しい
  • インスリン抵抗性糖尿病の方は、βアミロイドが溜まり易いといわれている
  • 脳の血流不良は、βアミロイドの排泄を低下させている可能性がある
  • リノール酸が酸化されてできるノネナールがアルツハイマー型認知症の原因という説もある
  • アルツハイマー型認知症を遠ざけるためには、運動習慣と魚油摂取の習慣が望ましい

というお話でした。

長い時間をかけてジワジワと進行してくる病気であるため。

症状が発症した時には、取り戻すことの難しいのがアルツハイマー型認知症です。

しかし、研究が進むにつれて、アルツハイマー型認知症の原因が解明されつつあり、

25年前から、運動習慣と魚油摂取の習慣を続けていれば、

すごく遠ざけることのできる可能性がある認知症でもあります。

特に、比較的若い70代でアルツハイマー型認知症が発症すると、

本人も周囲の家族等も受けるダメージが大きいです。

介護が必要な時間も長くなってしまいますので、

25年前から備える!という意識を持っていただけたらと切に願います。

この度は、長文をお読みいただきありがとうございました!

もしよろしければ、今後とも応援のほど、是非ともよろしくお願いいたします!

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ODA 未来を創る薬剤師未来を創る薬剤師
メカニズム解明が大好きな薬剤師。もと有機化学の研究者。10年ほど現場の薬剤師と管理職を経験。病気等のメカニズムを分かりやすく伝えようと奮闘中!趣味は食べ物や化粧品の成分を考察すること。運動はするけれど、ある物が原因で脂肪肝・・・